Subject: 忙しい
Date: Sun, 31 Oct 1999 03:49:34 +0900
独立して1年。この言葉を言ってみたかった。
「忙しい」
でも、暇な日々は続いた。続いた。忙しいくらい暇だった。
そして、最近、少し忙しい日が続いた。(普通「少し」忙しい時は,忙しいとは言わないが、暇が日常化すると「少し」で充分忙しいのです)。大阪、岡山、山口。山口県では3箇所を周って目が回った。
1箇所は女子高校での公演で特に緊張した。でも、終わってから女子高生に 「サイン下さい 」と言われた時は緊張の糸が解けて、鼻の下がダラリと長くなった。岐阜では「講演会」のつもりで行ったら「公演会」だったので、間に入った業者の人に文句を言った。
「すみません、やっぱりネタが全く違いますものね?」
と、業者の人が言ったので、そこでハタと気づいた。
「ネタはだいたい同じです。でも、心構えが違うのです。」
……忙しいと、頭もパニックになる。
映画「サラリーマン金太郎」の完成パーティーがあった。一応出演しているので、しかも会費無しだと聞いたので、忙しいにもかかわらず、その日は何も予定がなかったので…?、ノコノコ出かけた。
タダで呑んで食ったうえに、ビンゴが当たった。マイクを向けられたので、いきなり「サラリーマン金太郎、略してサラ金の皆さん!」
と言って、笑いを待ったが……場内に冷たい空気が流れただけだった。私の気持ちは嬉しかったり、淋しかったり、と忙しかった。
とにかく忙しかった。宇都宮隆さんのお父様が亡くなられた、と福島君から電話が入ったので、葬儀に出席した。テレビカメラが何台も来ていた。その前を通る時、私の歩調に合わせて動くカメラを感じた。そんなわけ無いと思った。前を見ると私の前には小室君がいた。ウツ君(親しい人は彼の事をこう呼ぶ。ちなみに私は、直接呼びかける時「ウツさん」と呼ぶ。トホホホ…)は通夜にはミュージカル出演中の為、出られず。葬儀のあとも、夕方から横浜のなんとかと言うデカイ、ホールでTMN再結成ライブだったそうだ。悲しみを乗り越えて…凄いと思った。忙しいとはこういう人の事を言うのだ。だって、何万という人々がチケットを買って待っているのだから。すると、女房が僕に言った。
「数じゃないのよ、あんたの場合50人かも知れないけど、仕事に穴を空ける訳にはいかないよ?その時はちゃんと行って貰いますからね。それが芸人でしょう?」
「……はい」
どうせなら、もっと忙しくなりたい。
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