Subject: 笑顔
Date: Mon, 4 Oct 1999 04:53:24 +0900
テレビのニュースに映されたその笑顔を見て、本当にこの国は大丈夫なんだろうか?何かが根本的に間違っているのではないだろうか?と、考えてしまいました。僕はお客さんに笑ってもらってナンボの商売をやっていますから、人の笑顔を見るのは大好きなんです。
でも、あの笑顔を見ていたら、悲しくて…えっ?何の笑顔かって?
東海村の臨界事故で、一時避難していた住民が非難解除になった時に「家に帰れる」とインタビュアーに嬉しそうに話していた、あの笑顔の事ですよ!……あまりにも人が良すぎます。怒って余りある事態ではないですか。
確かに、日本人はテレビカメラやマイクを向けられると、条件反射的に笑ってしまうサービス精神があります。日本は仏教が広く浸透していますから、社会より個人。人はどうあれ自ら徳を積む事を美徳とする教育が根付いています。不正や悪を、憎むより許してあげるその寛容さが「人徳」として価値があるとされます。ですから、テレビを見ていると皆笑っています。許すのです。
「もうちょっと、早く住民に知らせて欲しかったですねえ。でも、子供たちも学校に行けるって喜んでますし、どのくらい避難を続けるのか不安でしたけど、早く家に帰れて良かったです。嬉しいです。でも、やっぱりちょっと不安ですね…オッホホホホ…・」
おい、おい。ちょっとじゃないだろう!ボケを得意とする私も突っ込みますよ!
これは変だ。テレビカメラが無くてもあの人達は笑顔じゃないかと僕は思う。要するに騙されているのです。
安全宣言が出された…「ああ良かった」
良くは無いのです。
「避難しなさい」「安全だから帰って良し」
…このような上からの命令をみんなが有難がって聞いている。変だぞ?最初に原発があって、そこに人が住みはじめた訳じゃないだろう?そう言えば昔から僕らはそうだった。先生が、
「明日は特別に学校はお休みです」
「ワーイ、ヤッター!」
…違う。自分が行かなければズ−ッと休みなんだ。個人の意志を大事にしようよ。
個人の命を大事にしようよ!
日の丸も君が代も、「日本に住む人ではなく、日本の国を守る為の」有事立法とやらも、今回の事故とその対応に全てがダブる。組織を離れ、この歳でフリーになって、初めて見えてきたものがある。
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