Subject: お金持ちの為の教育
Date: Mon, 31 May 1999 04:28:24 +0900
5月29日、芝のメルパルクホールに伊奈かっぺいさんの「コンサートーク」というライブを観に行って来ました。松崎菊也さんの知り合いで、「ヒロさんの芸にきっと刺激になる」と連れていって下さったのです。
菊さんの言う通りでした。歌や、トークで二時間以上。正に僕の目標とする「スタンダップコメディー」そのものでした。大いに笑い、そして大いに感心、感動しました。
全部は紹介出来ませんが、う〜んと唸ったひとつに、小学校の時の思い出がありました。それは、音楽室や、講堂にあったピアノのフタには鍵がかかっていた。と言う話です。だから、かっぺいさんは「普通の子」はピアノに触ってはいけないんだと思ったそうです。その話し方が実に哀愁を帯びて説得力があるのです。僕もその光景を思い出して思わず目頭が熱くなりました。本当は音楽が好きで色々な楽器を勉強したかったかっぺいさんの幼い頃が自分と重なって、ジーンと胸に来たのです。
おそらく多くのお客さんの脳裏に同じような記憶がよみがえったに違いありません。今でもそうなんでしょうか?確かに僕らの時代はそうでした。ピアノは誰でも触れるものではなかった。弾ける人、触った事のある人。…結局、家にピアノがある人、無くても習いに行くお金がある人しか、あのピアノの鍵盤に触れることは出来なかった。子どもの時は当然だと思っていた。
でも、今、そう思っていた自分達がちょっぴり可哀相だ。そして、だんだん腹が立ってくる。僕は確かにピアノは似合わないし、弾こうとも思わない。
でも、伊奈かっぺいさんのように弾きたかった少年がいたかと思うと…。同じような少女が更にいっぱいいたかと思うと…。
いっぱい居た筈だ。ほとんどがタテ笛かハーモニカだったもの。それさへ買えない子がいたかもしれない。だったらその子をこそピアノの椅子に座らせるべきじゃなかったのか?
僕らの頃はまだ、塾なんて無かった。今はどうだ?みんな行ってるのか?昔も今もやっぱり金持ちの為の教育なのかな?…そう言えば、さらに金持ちになる為に勉強してるのだものね?そうか、あっ、それでいいのか。そうだ、そうだ。う〜ん?でも、それでいいんだっけか?
松元ヒロ
|