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週刊ヒロポン・その38

Subject: 「上品」
Date: Mon, 13 Jan 2003 21:12:45 +0900



大衆演劇界の現役では最年長の座長、若葉しげるさんのひとり芝居「おかあさんのお弁とう箱」をplanBで見ました。
普段は華やかな大衆演劇の一座として全国を飛び回っている芸歴50余年の座長がライフワークとして演っているこのひとり芝居は彼が広島の原爆資料館で見た「真っ黒な弁当箱」がきっかけでした。実話を基にしたこのお芝居に私は泣きました。

実は私、大衆演劇を生で見たことが無かったのです。私は偏見を持っていました。あの類は臭い芝居をするものだと。でもそのひとり舞台はリアリティーに満ち溢れていました。

戦火の中、愛する息子に白米を少しでも多く入れた弁当を持たせる母。
そしてそのお弁当を…
(これから先はどうか舞台で)。

文章に出来ない鬼気迫るその演技。終演後の拍手が鳴り止まぬほどでした。おまけとして若葉さんはそれまでのモンペ姿から一変、豪華なかつらと和服姿で一曲踊ってくれました。その艶やかさったら!年増の色気とでも言うのでしょうか。女形である事を忘れてウットリと心を奪われて口はアングリ。
そういえば、ひとり芝居の時も男が演じていると言う事を忘れて見ていました。戦時下、息子を厳しくそして愛情いっぱいに育ててきた歯医者さんの奥様がそこにいたのです。

そしてある事に気づいたのです。品が良いのです。上品な色気なんですよ。
楽屋に訪ねた時には舞台に賭ける「男」でした。この道では高名な大先輩なのに驕り高ぶらないその態度。心配りや優しさがにじみ出る喋り方をする役者さんでした。
生まれた時から旅一座の子として育ち、今では孫と一緒に舞台に立っている、正に大衆演劇一筋の人生を生きてきた人です。芸に、台詞に、女形姿ににじみ出るその品性は、どんな金持ちの美人の奥さまだからといって持っているとは限りません。ましてやグッチ、エルメスを買い漁る女性にそれを見つけるのは難しいでしょう。 

年令や性別を越えて「品が良い」「上品」であるってことはこんなにも人を心地よくさせ、幸せな気分にさせるのかと再認識したのです。しかし、こればかりは頭で解ったからって品性が身につくかどうかは別ものですよねえ…。

松元ヒロ



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