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週刊ヒロポン・その27

Subject: 顔
Date: Fri, 3 Nov 2000 22:56:18 +0900



山手線から総武線に乗換えるため、秋葉原のホームで電車を待っていた。今日は市川北おやこ劇場で「ソロライブ」だ。

夕暮れ時、でもまだ時間がある。では喫煙コーナーで余裕の一服。その時ひとりの男性が近寄ってきた。そして私の耳元でこう言った。
「良い仕事があるんだけど」
いきなりそう言われたので私は
「ハッ?」
「仕事はあるのかい?」
…ようやく私は事態が呑み込めた。何故か間違えられた事に腹は立たなかった。確かに私の仕事はあったりなかったりだ。笑顔でその男に答えた。
「今日は仕事、あるんですよ」
彼は不審そうに
「どこで?」
私は胸を張って
「市川に行くんです」
彼は間を置かずにこう言った。
「やっぱり土方かい?」
さすがにこの質問にはヒザがカックンとなった。周りのサラリーマン達も聞き耳を立てていた。ちくしょう!何か言い返さなければ。
「土方じゃないです。でも、まあ、身体を動かす、その肉体関係の仕事ですけどね」
周りのサラリーマン達はやっぱりそうかと言う顔をして、灰皿にタバコを揉み消し一斉に電車に乗り込んで行った。その男は
「良い仕事、あるんだけどな」
と、もう一度言ってから、私のもとを去り、違う男性に声をかけはじめた。その男性も私と同じような大きい黒いバックを肩から提げていた。
衣装類を入れた大きいバックと、更にノート類を入れた黒いバック。確かに家財道具一式を持ち歩いてる様にも見える。気が付いたら、私は背中を丸めて次の一本を吸っていた。昔の記憶が蘇った。
『笑パーティー』の頃、結構テレビにも出ていたので、「おしゃれも必要だ」と、女房に頼み込んで少ない生活費から捻出したありったけのお金を握り締めて原宿に行った。
そしてその頃流行のカーキ色のダブダブのズボンとこれまたダブダブのオレンジのシャツを買った。店長さんが「まさに流行の最先端ですよ、やっぱりタレントだ」と、言ってくれた。次の日、東北の旅館に私は居た。早朝、共同の流し場で髭を剃っていたら、旅館の女将さんに
「ちょっと!そこはお客さんが使う所だから、外の水道使ってよね!」
と怒られた。流行りの服は外で作業をしている大工さんの作業服の色違いに見えた。

市川から帰って鏡の前に立った。ジーパンはしようがないとして、このフリースがいけなかったのかな?と、色々な上着を羽織ってみた。鏡ごしに女房が言った。
「顔でしょう?」

松元ヒロ



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