Subject: 考え方ひとつ
Date: Tue, 25 Jul 2000 04:18:48 +0900
中島らもさんの昔の本に、セールスマン向けの訓話でよく引用される話として、こんな話が紹介されている。
アフリカのある国へ二つの商社の営業マンが靴を売りに行った。片方の営業マンは出張先のその国から本社に泣きそうな声でこんな報告の電話を入れた。
「駄目ですよ、この国は。誰も靴なんか履いていません」
ところが、もう一方の営業マンはやはり本社に電話を入れて、小躍りするような勢いでこう言った。
「すごいですよ、この国は。まだ誰も靴を履いていません!」
見たものは同じなのに、夢や希望が天国と地獄に分かれるのだ。
所謂「考え方ひとつ」と言う奴だ。既製概念で見るか、柔軟な発想で見るかという問題だ。可能性はどちらにあるかは明白だ。どちらが夢を持って、希望に満ちて楽しく生きていけるか?…(文化や自然な営みを資本主義経済が破壊していく最初の段階と見て取れなくもないけれども、まあそれは「こっちに置いといて」)
私は後者の営業マンになったほうが人生楽しいと思った。「この考え方でいこう!」すべてを良い方向に考えるのだ。マイナス思考でなく、プラス思考に!そう考えた時、目の前がパッと明るくなった。目から鱗が落ちるとはこの事か!
その時、鱗が落ちた目の前に女房がいた。そうだ、この女房だって良いところがある筈だ。確かに年齢は私より上だ。口うるさい。いつも私が怒られている。怖い。・・・? この考え方がマイナス思考なのだ。こう考えよう。私の方が若輩者で、色々と細かい事まで気が付く、文句のつけようの無い、頼れる女房なのだと。
女房との年齢差は伏せておくが、結婚したとき、私は25歳、女房は29歳だった。今で言う「フリーター」で将来もハッキリしない、モテナイ私と結婚したのは、色々遊んできて、やけっぱちで私と一緒になったのではなかったのだ!
「色々と品定めをして、将来性を考えて、選びに選んで、その結果私がひっかか・・・いや、最終選考で選ばれたのだ! そうだよね?」
と女房に問うた。彼女は答えた
「え?・・・そう言えば、先物取引みたいなものだったわね。」
「そうだよな、正に先物取引。成功するかもしれないし、でも失敗の確率も高いモンな。さあ、どうなるかな?」
彼女は間髪入れず「失敗だったワ」と、ため息混じりに言い残し、昔一緒に出演していた事もあるウッチャンナンチャンのテレビを消して2階に上がって行った。
さすが女房!客観性がある。理想が高い!その夫である私はまだまだいける!と、プラス思考で考えるのでした。
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