2014年11月29日、30日と2日間連続で松元ヒロソロ・ライブを見た。
細い身体からチョコチョコと手足を出して語り続ける姿は、線香花火のように見える。暗い舞台の真ん中で、ライトに当たりながら、時折、スローガンを叫びだすかと思えば、頭をかいて背中を丸くし申し訳なさそうな顔も見せる。
もっと前からこのヒトの舞台を見ておけばよかった、現在にいたるまでにどんな変化があったのか目撃できなかったことがくやしい。
演目の中でも、“スクリーンのない映画館”がとても印象に残った。氏の原点としてマルセ太郎の名前が出てきたとき、色川武大の芸談を読んでいるみたいで胸が熱くなった。
誰もが知っている名画の再上映が“ヒロ語り”で幕開け。
名シーンの中から、ひょいと現代の社会問題につなげてみせて、ひっくり返す。語りすぎの恩着せがましさがない。ジョーク、音楽、悲哀、平和、マイム・・・このバランスは、このヒトにしかできないものだ。
エンディングで、暗闇に少しだけせっかちに消えていく姿をみたとき、
「この感じ、このまま、いくといい・・」
私はヒロさんの背中にそっとささやきかけた。
インターネットで松元ヒロを知ろうとすると、叫んでいる姿や、党決起大会みたくなっていたり、実際の舞台の印象とは違うものばかりだった。
実のところ、MXテレビ出演の動画が好きで、今回ライブへはじめて行ったが、ソレとも違う。秘密保護法は困るが、これから行こうという方にはなるべく真っ白な状態で体感してほしいと思う。
(札幌市・マイスケ通信)